心を全部奪って

「そんなこと、ないと思う。

この前の休みの日。

一緒に物件を見に行ったし」


「物件?」


霧島君の声が、急に大きくなった。


「うん…。

一緒に暮らす部屋を、

見に行ったの…」


まだ気が早いよって思ったけど。


部屋を探してくれてるってことは、本気なんだなって。


そう思えて嬉しかった。


日当たりやキッチンの配置。


リビングやら寝室やら。


図面を見るだけでも、ドキドキした。


「物件…か…」


霧島君の顔はなぜか険しくて。


その顔をチラチラ見ながら、私はまたお酒を口にした。