心を全部奪って

「ごめんなさい。

連絡できなくて…」


私の言葉に、霧島君がくるりと振り返る。


その顔は悲しみでいっぱいに満ちていた。


「それって、工藤課長と別れられなかったってことだよな?

だから俺に連絡できなかったんだろう?

なんで…?

お前、ちゃんと別れるって言ったじゃん。

大丈夫だって言ってたじゃん。

それなのに、

なんで…?」


霧島君が苦痛に顔を歪める。


私は震える指をぎゅっと握り締めて、小さく深呼吸をした。


「あの、ね。

工藤さんが…、

奥さんと別れるって言い出して……」


「え…?」


「離婚届を…、準備していたの…」


綺麗な字でサインが書かれていて。


すでに判も押されていた。