心を全部奪って

でも、知り合ってから10年にもなる二人が、そんなに簡単に別れることが出来るものなんだろうか。


ご両親や親戚、友人、会社。


いろんな人に報告しないといけないだろうし、引越しもしないといけない。


すごく大変なはずなのに…。


「出会うのが遅過ぎたって、ひまりはよくそう言ってたよね。

俺も、もっと早く出会っていればって言ったけど…。

遅すぎることはないんだ。

今からでもやり直せるはずだ」


「でも…」


「あの雨の日にひまりを見つけて、

声をかけずにはいられなかった。

雷に打たれたみたいに、

全身にものすごい衝撃が走ったんだ。

俺はひまりと出会えたのは、運命だったと思ってる」


ど、どうしよう…。


涙が…。


「泣かないで…」


「だって…」


そんなこと言われたら。


せっかくの決心が、


ガラガラと崩れていきそうなんだもの…。