心を全部奪って

「やっぱりそうか…」


工藤さんは落ち着いた口調で言った。


やっぱりってことは、


うすうす勘付いていたのね。


「2週間くらい前になるかな。

金曜日に会社が終わってから、

ちょっと遅い時間だったけど、ひまりのアパートに行ったんだ。

突然行って驚かせようかと思って…。

でも、ひまり。

部屋に帰ってなかったから…」


金曜日?


それってもしかして、


霧島君と観覧車に乗った


あの日のこと?


うそ…。


工藤さん、私のアパートに来ていたの?


「あれからだよ…。

ひまりと会いたくても、なかなか会えなくなったのは…。

もしかして、避けられてるのかなって…。

そう思った矢先、こんな場所に呼び出されたから。

きっと、こんな話なんじゃないかって、うすうす感じていたよ」


そうだよね…。


彼は私より5歳も年上。


私の変化に、


すぐに気づいて当然だよね…。