心を全部奪って

「なぁ、朝倉」


「はい?」


「いろいろ、ごめんな…」


真っ直ぐな瞳で私を見つめる霧島さん。


そんな彼を、私も目を逸らさずに見つめた。


「これからはもう、工藤課長とのことは何も言うつもりはない。

あんなふうに、無理矢理わからせようなんて事もしないから。

だから…。

俺を許して欲しい」


霧島さんはそう言って、頭を深く下げた。


「そんな。

許すも何も…。

私の方が悪いんです。

霧島さんは当然のことを言ったまでで…。

私のためを思って、言ってくれたんでしょう?」


やり方は強引だったかもしれないけど。


間違ってるよって、必死に教えてくれようとしたんでしょう?


「そうだよ…」


霧島さんは少し悲しい瞳で呟いた。


「あんたに幸せになって欲しいから。

だから、ムキになって色々言ったんだ…」


「なんか、かえってごめんなさい。

私を見てると、イヤですよね?

軽蔑…しちゃいますよね…」


不倫している私って、


どう見えるのかな?


汚らわしく見えたり…するのかな…。