心を全部奪って

振り返るとそこには、


思いがけない人が立っていた。


「霧島さん…?」


「朝倉、どうしてここに…?」


びっくりした顔で、彼が私のそばまで歩いて来る。


「霧島さんこそ、どうして…?」


「俺?

俺は、飲み会抜け出して来たんだ」


「え、抜け出した…?」


「だって…。

だって、なんかすげーつまんねーんだもん」


「で、でも、だからってどうしてここに…?」


「う…ん。

なんかわかんないけど、

無性に乗りたくなったんだ。

観覧車に…。

朝倉は?」


「私も…。

私も観覧車に乗りたかったの。

まさか霧島さんに会うとは思わなかったけど…」


本当に、すごく驚いた。


「連絡したわけでもないのに、会えるなんてな。

じゃあ、せっかくだし…。

一緒に乗る?」


にっこり笑う霧島さん。


私はコクンと頷いた。