『えっ⁉︎もしかして、RAYって麗ちゃん⁉︎』
SNSの返信がきた。
RAYは私のユーザーネームだ。
彼には一度会ったことがある。
そう、一度だけ。

「こんにちは!はじめまして!僕は、常宮高校2年の秦 達来です。」
キャンププログラムに申し込んで、一次試験に合格した私は二次試験で彼と出会った。
「あれ?早希の後輩?」
「はい、尚欄高校1年の紫咲 麗です。よろしくお願いします」
「そっかぁ!早希の後輩か‼︎僕、バンドとかやってるから、その繋がりで知り合いなんだ〜。あ、じゃあ、藤村とか大沢とかも知ってるよね⁉︎」
「はい!先輩です笑」
「おぉ、今度LIVEやるから来てよ‼︎楽しいから‼︎」
「ぜひ^_^」
「じゃ、試験頑張ろうね」
(笑顔が素敵でとても優しそうな人…)
そしてとても楽しそうにLIVEやバンドとかの話をする人でした。

「あ、早希先輩!秦くんって知ってますか?昨日会ったんですよ〜」
廊下ですれ違った早希先輩に声をかけた。
「おはよー!麗ちゃん。あぁ、秦ね(笑)知ってる知ってる〜。なんで会ったの?」
(試験のことって言っていいのかなぁ…でも落ちちゃったら嫌だしなぁ)
「…いやぁ、なんかうーん…秘密です!」
「え、なになに⁉︎あ、今日SNSで秦に聞いてみようっと^_^」
「えぇ、先輩〜大したことじゃないですよ〜」
先輩は笑いながら行ってしまった。

そして放課後SNSで秦くんを見つけて私も友達追加をした。

でも、私が紫咲 麗って把握されたのはその1ヶ月後だった。
なんたって、ユーザーネームがRAYだから。
もう夏に入ろうとしていた七月のことである。

『死にてぇー』
『隣の女ゲロい』
『高校生の恋愛なんて』
『ワロタワロタワロタワロタワロタワロタワロタワロタワロタワロタワロタ』
彼のつぶやきは第一印象を忘れてしまうほどの破壊力だった。

そんなとき
『えっ⁉︎もしかして、RAYって麗ちゃん⁉︎』
『はい!把握されてなかったんですね(笑)』
『えぇ、ごめん‼︎わかんなかったぁ´д` ;というか、今まで俺のつぶやき見てたってこと⁉︎えぇぇ…いやぁ…恥ずかしい』
『見ちゃってました(笑)なんか、会った時のイメージと大分違うというか…』
『うわぁ、しくじった…見てると思わなかった…』