何とか蒸留塔中程にとりつくと。

「はああああああああああ!」

ジョンはその垂直の壁を駆け登る!

足裏についた滑り止め用の金属製スパイクと、強靭な脚力を利用して、まるで平地を走るが如く壁を疾走。

そのまま一気に蒸留塔の頂上へと到達する。

「来たか」

ジョンが着地すると、ロスティスと後ろ手に縛られたコリンズがそこにいた。

「ウチの幹部達を悉く無力化…いや、大したもんだ」

気のない拍手でジョンを称賛するロスティス。

「が…」

彼は熱風に髪を揺らしながら、ジョンを見た。

「なぜ殺さなかった?」

「殺さない方が罪業に苦しむ事もある…俺なりの処罰さ」

ジョンは嘲笑うように言った。