有効射程こそ1.5キロとバレットM82には劣るが、狙撃銃としては一般的な射程。

何よりそれを補って余りある威力。

アナトールは愛銃ダネルに満足していたし、絶対の信頼を寄せていた。

ダネルならば、完全義体化サイボーグが相手でも一撃で射殺する事が出来る。

この時代、この世界で最強の戦闘能力を持つ兵士、サイボーグ。

それを一撃で殺せるという事は、自分こそがこの世界で最強の兵士。

アナトールはそう信じて疑わなかった。

しかし。

「ん…?」

爆発炎上するコンビナート。

そこから少し離れた河口の水面に、浮かび上がる人影。

「奴め…」

アナトールは舌打ちする。

ジョンは爆発の瞬間、爆風を利用して河に飛び込み、難を免れていた。