アスファルトを踏み締め、ジョンは軽装甲機動車の前に出た。

…道路上で燃え盛る炎、立ち昇る黒煙。

それらを背に、一人の男が立っていた。

只の人間ではない。

ジョンのものよりも重装備の黒い特殊作戦用義体。

左胸、腰、大腿部、足首などに、熱溶断機能を備えたナイフを装備している。

髪はジョンと同じく、銀色。

「おやぁ?」

男は、小首を傾げながらジョンを見た。

「戦術自衛隊には、サイボーグはいないと聞いていたんだがな」

「俺は戦術自衛隊じゃない。デュラハン・セキュリティ・コンサルティングのコントラクター、ジョン・ライトニングだ」

「おぉ…お前が…」

ニヤリと笑う男。

「噂は聞いてるぜ?世界各国からの大口案件を抱え、PMSCsにおけるお前の業務は複数多岐にわたり、安定しているらしいじゃないか…だが」

「!!」

瞬時に間合いを詰めた男は、腰に下げた高周波ククリナイフ(くの字型の刀身、湾曲した刀身の短弧側に刃を持つ内反りと呼ばれる様式の刃物)を抜刀!

斬り上げのその斬撃を回避するものの、完全には躱し切れず、ジョンはヘッドギアのバイザーをその一撃で吹き飛ばされた!