「おい、聞いてんのか?」


あいつは私にだけ聞こえる声で暴言を吐く


その言葉だけで私は凍り付いてしまった


高校だけはあいつの邪魔をされないで済むと思っていたのにこれからどうすればいいんだろう


『ねぇ、あの子誰?』

『さあ?でもあのイケメンに話しかけられてるのにシカトしてない?』

『はあ?それはあまりにも生意気なんじゃない?』

『ほんと。調子に乗ってんじゃねぇよって感じ』


金橋の言葉に返すこともできず黙り込んでいると


周りから聞こえてくる私に対する陰口


そのことで一気に中学時代が思い出され、私の頭は真っ白になる


「あ、あの、はじめ、ま、まして」


しまった


ものすごい勢いで噛んでしまった


「…………っ、はじめまして。」


幼なじみに向かってはじめましてという私に眉間にしわを寄せイラつきを露わにする金橋


しかしそれもほんの一瞬で、次の瞬間には、あの胡散臭い笑顔を顔に張り付けていた


そして金橋は何事もなかったかのように、周りとあいさつを交わしながら自分の席まで歩いていった


そのあと金橋がものすごい形相でこちらを見ていたことなど私はつゆほども知らない