仲良く並んで話す蒼太と緑は見ていて楽しい。
紅葉には兄弟がいない。
一番はじめに産まれたのが、こんな特異な子供だったから、両親は再び子供を作るのが怖かったのかもしれない。
二人は紅葉をとてもかわいがってくれてたけど、心ないことを言う人たちもいた。
『紅葉はなにも心配しなくていいからね』
いつも、そう言ってくれてたけど、きっと嫌な思いも沢山しただろう。
何より二人は愛する我が子が傷つけられることを、とても恐れていた。
とても善良な人達だから、もしも再び子供ができて、同じ様な思いをさせるなら……
そう思うと作れなかったんだろう。
『私達はあなたがいてくれるだけで充分幸せなのよ』
母はいつもそう言ってくれたから、紅葉が負い目に感じる事はなかったけれども。
兄弟いたら、もっと楽しかっただろうなと。
そう思った事がないと言えば嘘になる。
特にこんな風に仲睦まじい様子を見てしまうと、無理を望んではいけないと分かってはいても、とっくの昔に諦めて押し込んでしまったそんな思いが込み上げてきてしまう。
自分があの中の一人ならよかったのに。
仲の良い兄弟姉妹を見かけるとよくそんなことを思ってしまう。
『……人のものはよく見えるってよく言ったもんだよね』

