「……隠し子? 僕に居る訳……」
 何を言ってるんだと一瞬怪訝そうな顔をした蒼太だったが、紅葉が指差した先にいる人物を見ると、すぐに表情を柔らげた。
「なんだ。緑じゃないか」
「蒼太!! 誰このガイジンさん!?」
 蒼太の顔を見るなり、ミドリと呼ばれた少年は、パアッと顔を輝かせる。
「僕の、弟です」
 少年を中に入れ、玄関を閉めながら、蒼太は紅葉にそう言った。
「隠し子じゃないんだ?」
「僕の歳でこんな大きな子供、居る訳ないでしょ?」
「その歳自体ちょっと怪しいんだけどなぁ……」
 そんなやりとりをする二人を見て、緑が笑い声をあげる。
「確かに言えてら。にーちゃんジジくせーもん!!」
「緑まで……」
 紅葉と緑の二人にからかわれ、蒼太は小さくため息をついた。
 紅葉と緑は顔を見合わせてさらに笑っている。
「まぁ、いいですけど」
 肩をすくめて言いながら
『子供がふたり……』
 そう思って蒼太は苦笑した。