身長は百三十センチくらい、年の頃は、多分十歳前後だろうと思われる少年。
『うーん……?』
 じっと顔を観察する紅葉に、恥ずかしくなったのか少年は顔を紅潮させながら、おずおずと口を開いた。
「あ……は……はろ~?」
「……?」
 次の瞬間、紅葉は吹き出した。
「あははははっ!」
 笑いころげる紅葉を少年は、目を丸くして見ている。
「あのぅ~?」
「あは……いや、ごめん。だが少年、安心したまえ。あたしは外国人じゃない」
「ええ~?」
 少年はどうやら紅葉を外国人と思ったらしい。無理もない、普通の日本人ではありえない真っ白な肌と髪。子供にそう思われても仕方がない。
 驚いてこちらを見る少年を見ているうちに、その黒い瞳が誰に似ているのか紅葉は思い出した。
「どうしたんです?」
 浴室から姿を現した張本人を、少年を指差しながら紅葉は振り返る。
「蒼太くん。これは君の隠し子か何かかね?」