「ごっ、ごめん!」
 紅葉が勢いよく頭を下げて、慌てて謝る。
『かわいいな……』
 真っ白な頬がルビーのように赤く染まるのを見ながら蒼太は思った。
「いや、なんでかは何と無くわかりましたけど」
 昨夜、紅葉に提供した奥の部屋に目をやりながら言葉を繋げる。
「すみません。僕の配慮が足りませんでした、というか知らなかったんですけど……」
 一瞬きょとんとした紅葉に蒼太は真顔を崩して微笑んだ。
「紅葉さん。しばらくここにいませんか?」
「は?」
 大きな紅い瞳がさらに大きくなる。
「急いで何処かに向かってる訳ではないですよね? 紅葉さんがよければなんですけど……」
 明らかに驚いている紅葉にかまわず蒼太は続けた。
「僕なりにアルビノについて調べてみました。この部屋ももう少し居心地よくできると思います」
「えっ……と……?」
 紅葉は眉間をよせて思い切り首を傾げた。蒼太の申し出はあまりにも唐突で、予想外のことで……

 混乱する。

 2人は昨夜会ったばかり。
 お互い何も知らない。
 しかも、こんな自分に。
 わけがわからない。

『ちょっと変わった奴だとは思ってたが……』
 紅葉は眉間にしわを寄せたまま、考え込んだ。