駅に向かい三人並んで歩く。
 孤独だった二つの影が繋がり溶けて、一つ小さな影を増やして……
 今思えば、以前は随分と強がっていたのだと思わざるをえない。

 ひとりが好きだと。
 ひとりでも大丈夫だと。

 そんなふうに思っていたのは、本当は奥底にあった孤独を隠すためのカモフラージュ。
 並んで歩ける幸せ。
 すぐそばに手を伸ばせば得られるぬくもりがあることの幸せ。
 二人の間を繋ぐ小さな手の存在。
 それは決して派手だったり、豪奢なものではないけれど……
 その淡い、柔らかな。  
 星の瞬きのようなささやかな幸せこそが望み。
「……?」
 それぞれ両脇に並んで歩いている二人に繋がれていた手が、両手同時に強く……ぎゅ、と握り締められ、少女が見上げれば。
 同じように前に視線を投げたままの二人に、良く似た笑みが浮かんでいる。
 幸せそうな……とても幸せそうな笑み。
 それを見た少女も、ふわりと包まれたように、気持ちが丸くなるのを感じて……
 桜色の小さな唇は、花開く前のつぼみのように仄かに色づき、緩やかにその両端を上げた――