二人で部屋をかたづけ、軽い夕食をとった後、先に入浴を済ませた紅葉と入れ替わりでシャワーを浴びる。
 部屋に戻ると、灯りは消され、寝室にひかれた布団の上で、肩まで毛布にくるまった紅葉が窓の外を眺めていた――

「今日は星がよく見えるでしょう?」
 声をかけて紅葉の隣に並んで座る。
「うん」
 そう言って、ゆっくり振り向いた紅葉と目が合った。
 どこか潤んだようにも見える紅い瞳と見つめあう。
 ……自然と、引き寄せられるように、唇を重ねた。
「蒼太……」
 軽いキスの後、じっと目をみつめたまま……紅葉がささやくような声で自分の名をよぶ。
 彼女の身体を包んでいた毛布が肩から落とされる。
「紅葉さん……」
 目の前の光景に蒼太は言葉を失った。
 窓から差し込む月明かりに浮かび上がる……透き通るように白い身体。
 彼女自身の手で露わにされたその肌は、青白い光をうけて、とても神秘的な印象を与える。

『綺麗だ――』

 蒼太は思った。
「……気持ち悪い?」
 白く、長い睫毛のかかる瞳を少し臥せて、躊躇いがちに紅葉が訊いた。
「綺麗だ」
 思ったままを蒼太は口に出した。
 臥せられていた紅い瞳が、小さく光を宿し、上げられる。

「いいんですか?」
 紅葉の顔を見つめ、蒼太は訊いた。
 紅葉は黙ったまま、こくりと頷いた。

 何度も何度も口付けをかわす。
 長い、長い口付けの後、肩に手を触れると、紅葉の身体はかすかに震えていた。
「大丈夫ですか?」
 力を入れたら壊れてしまいそうな気がして、蒼太は紅葉をそっと抱きよせた。