並んで毛布に入ると、横向きに身体を横たえてる蒼太と向かい合う形になってその顔が間近に良く見える。

 伏せられた黒いまつげは意外に長い。
 よく見ると端正に整った顔をしている。
 見知らぬ人間を部屋に入れておきながら、何の心配もしていないかのような安らかな寝顔。

『変な奴……』

 眠っている蒼太の顔を覗きこみながら紅葉は小さく笑った。
 下は畳だし今は六月。毛布一枚あれば充分寒くはない。
 しかも蒼太は長身のわりには細身で、紅葉がもぐりこむのになんの支障もなかった。

『ぬくいなあ……』

 毛布のなかの蒼太の体温が心地良い。
 程好いぬくもりにホッと息をつき、蒼太の顔を眺めながら公園で交した会話を思い出してみる。