――その知らせは突然だった。



 蒼太が作った食事を三人で食べた後、昔の話などして盛り上がっていた時……
 急に鳴った携帯の着信音。
「もしもし? 律ちゃん?」
 画面で確認して、電話に出る。律子の名前を聞き、蒼太と話していたアキラも紅葉の方を振り向く。
「紅葉! 良かった。繋がって」
「どしたの?」
 やや緊迫気味の律子の声に、紅葉は微かに眉をひそめ、問いかえす。
「いい? 落ち着いて聞いてよ。紅葉……お父さんとお母さんが今うちの病院に来てる」
「え?」
「車で事故して、救急で運ばれてきたの」
 律子の台詞を聞いた途端、紅葉の表情が凍りついた。
 アキラと蒼太も紅葉の異変にすぐに気が付き、何事かと様子を伺う。
「今運ばれてきたばかりだから、まだよくはわからないの……処置室に入ってる。ね、紅葉こっちに来れる?」
「お父さん……お母さん……?」
 携帯を握る手が震える。
 見かねたアキラが紅葉の手から携帯を取り上げた。
「何何? 何あったんだ?」
「アキラ!? あんたなんで居るのよ?」
 突然、聞こえたアキラの声に律子のほうも驚く。だが、すぐに気をとりなおしアキラに告げる。
「紅葉のお父さんとお母さんが事故にあって運ばれてきたの。なんでそこに居るのか知らないけど、丁度良かった……紅葉と来て。私もう戻るから、後でまた連絡する」
「わかった」
 アキラの返事を聞くと、慌ただしく律子は電話を切った。
「紅葉さん……?」
 茫然とする紅葉の肩にそっと手を置き、蒼太が心配そうに覗きこむ。
 言葉が出ない紅葉のかわりに、アキラが蒼太に何があったかを話した。
 三人を重い空気が包む――