夜と紅と蒼と……




『アルビノ』




 聞いたことはある。
 遺伝疾患で、色素がなく、白い肌と紅い瞳をもつという。
 でも、映画や小説のなかでしか知らない。
「聞いたことはありますけど……」
「目の前にいるのが本物。初めて見た?」
「はい」
「ホントにいるんだよ」
「ええ……そうみたいですね」

 冴えた月の様に白い白い肌。
 透ける様な紅い瞳。
 光加減で少し色をかえる白い髪……

 確かに物語でアルビノと呼ばれる人々の特徴を彼女はもちあわせていた。