今日も生徒会の仕事をしていたら、時計の針はもう既に6時を回っている。下校時間だ。


生徒会の仕事は多くて困る。

今日は来週ある英語スピーチコンテストというイベントの準備をしていた。

単なる司会進行という役割りなのに、これから1週間みっちり練習がある。本当疲れて倒れそう。


「生徒会長ー!帰っていいですか?」

「仕事終わったのね、いいわよ」


笑顔で応答し、偽りの優しい生徒会長の仮面を被る。


(ったく、帰りたきゃ帰ればいいのに。いちいち生徒会長の許可が必要か...?)



雑用を先生に押し付けられるのも疲れたので、私も帰る準備をする。スクールバッグを持ち階段を降りる。

「さようなら、相沢さん」

「さようなら」


にこやかに挨拶をする。


たとえ通りすがりの先生にだって、仮面を被る。挨拶は礼儀だとしても、面倒。


玄関につく頃には雨の激しさが増していた。


手には2本の傘。

昨日、傘を持ってきていたのだが、雨が降らなかった。


それで忘れて帰ってしまったから、今日違う傘を持ってきたのだ。


昨日忘れた傘を手に持ち、今日持ってきた傘を開いて雨の中を歩く。


「雨って本当憂鬱《ユウウツ》だな」


風は吹き乱れ、濡れる肌に身を震わせる。