その扉の向こうに


初恋とおばあちゃんの遺言という衝撃的な出来事以降、私の日常は穏やかなものだった。

佐保ちゃんが作戦会議と称して放課後二人で話すのも楽しかったし、先生にだって毎日会える。

一番綺麗な時期だった。

ある日の放課後、先生に好きになって貰うには勉強を頑張るとか、同じ趣味を持つとかありきたりな作戦を立てていた時だった。

「今度さ、うち来ない?」

「いいよー、佐保ちゃんの家久しぶりだね」

「ちゃんと綺麗にしてきなよ。そうするといい事があるからさ」

「…?なんで?」

「秘密」


綺麗な格好、という言葉に少々引っかかるものを感じたけれど、佐保ちゃんの家に行けるのが嬉しかった。

佐保ちゃんの家は本が一杯あって、さらに広いお庭に面した畳の部屋にしかも縁側がある。

天気のいい日に寝っ転がって読む本は最高だった。

そう言えば、その部屋はおばあちゃんが使っていた部屋だと聞いた。生まれ変わりだと好きなものも似てくるのだろうか。