「こんにちは、月影 咲夜様。」
小柄で中性的な男の子…最初はそんな印象だった。
「こんにちは。」
貴方は誰?どうして私の名前を知ってるの?なんて漫画の主人公じゃあるまいし
相手が自分の名前を知っているのだ知り合いでなければおかしいはずだ。
そんな幼稚な事を考えていた。
「僕は、刹那と申します。」
セツナ、聞いたことがあるような気がした…何だったか思い出せない、噂、噂で聞いた話に出てきた名前。
どんな噂だったか思い出せない。
「セツナ、貴方何で私の名前を知ってるの?」
さっきは自分で否定していたのにこの質問をしてしまった。
小っ恥ずかしい話だ、だがそれくらいしか思いつかないのだ。
「そりゃ…。」
刹那が言葉を濁している、怪しい、今更ながら思った。
クスクスと刹那が笑う、何が可笑しいのだろうか。
「夢だから。」
…。

一時的に思考が停止する、何言ってんだろ、この子。
「夢?誰の?私の?」
テンパって早口になる。
目の前の子は笑を必死に堪え、顔を歪ませている。
「貴方の以外誰の夢だと言えますか。」
むぅ、確かに…刹那の夢の中だったら私の存在は幻になってしまう、…刹那は幻か?私の作り出した幻なのか?
ふと疑問が沸く。