Trick OR Treat?


なんだかんだで英語を教えて、授業も終わる。

「結城さん、ありがと。」

そう言うと笑って席を戻した。

「ちょっと篠原!秋良にあんまり近づかないでよねっ!」

「なんで澤田さんにそんなこと言われなきゃいけないの?」

あたしを間に挟んで喧嘩してるのがすごく怖い。

ていうか、嫌だ。

「2人ともー、喧嘩はやめてー。」

思いっきり棒読みで2人を止める。

「やだ、秋良これは喧嘩じゃなくて、厳重注意、よ?」

「厳重注意?そーなんだ。俺には喧嘩売ってるようにしか聞こえなかったんだけど?」

…逆効果。

「あーもぅ!これ以上喧嘩するなら万智ちゃんのこと嫌いになるからっ!」

「…秋良が…私のことを…?それだけはダメよ!絶対絶対ダメなんだからっ!」

万智ちゃんはそう言うと篠原くんをさっと睨んで仕方なさそうに、ごめんなさい、とだけ謝った。

「…澤田さん、謝れるんだね。」

「な、何よ失礼な!人を謝ることのできないバカだと思ってたの?」

あーぁ、篠原くんが火をつけたんだからもう知らない。

「そうじゃなくて、自分が正しいと思ったことは貫く人なのかなって、」

…全くその通り。篠原くんは、よく見てる。周りを。クラスメートを。

「そりゃ、私だって悪いと思えば謝るわよ…。それに、私の中では秋良が全ての中心なの。秋良が全て正しいのよ。」

あたしすごい人になってる…