Trick OR Treat?


気付いたんだよ。席替えで、すごく微妙な位置なのに、何と無く嬉しいなって思ったのも、教科書を見るために机くっつけて緊張する理由も。

「…Trick or Treat?」

ぁ、カバンとか持って来たけど、お菓子は、配っちゃったんだっけ…

「持ってないよ…」

全部わかってるんだ。計算なんでしょ?

「イタズラ、していいよね?」

コクっと小さく頷く。

軽いリップ音と、近い距離。

「俺は結城さんのことが好きだよ。だから、付き合って欲しい。」

「うん…あたしも、篠原くんが好き。」

そっとお互いのおでこをくっつけて告白する。

「…じゃぁ、行くよ。」

「え?」

手を引っ張られて、したへと連れて行かれる。

この道は教室から来た道、のはず。


「し、篠原くん、どこに」

「内緒。もうすぐつくから。」

もうすぐ着くもなにも、どう考えても教室に行くってことになるよね⁈

「…結城さん、開けて。」

何故か、テレビを授業で使う時にしか使われない遮光カーテンが使われている。