美咲と駅で別れた後、電車で10分ほど離れた私の住む隣町の駅に着いた。
私の家は駅から歩いてちょうど5分の所にある二階建ての洋風のモダンな白い家。
「ただいま~。」
玄関のドアを開けて中へ入るとお父さんの靴が目に入る。
「おかえりー。ちょっとあなた桜が帰って来たわよ!」
奥のキッチンの方からお母さんの声。
私のお父さんは、某有名化粧品会社の社長を務めていて家に帰ってくる時刻は大体夜中近くが多い。
まだ7時ちょっと過ぎなのに、ホント珍しい…。
そう思いながらとことことリビングへ向かった。
リビングへ行くと、相変わらずニコニコとした顔で私を見ているお父さんがソファに座っていた。
「桜おかえり。ちょっとこっちへ着なさい。」
私を待ち遠しかったかのようなお父さんの声。
お父さんは手招きをしながら自分の座っている向かい合わせのソファへ私を進める。
「お父さん今日早かったね。仕事速く終わったの…?」
私はお父さんの言う通りソファへ腰掛けた。
「桜、とっても大切な話があるんだ。」
そう言ったお父さんの言葉は少し重みがあった。
「話し…?」
私がそう言うとお父さんはこくんと頷く。