ザァー…。
6時間目の授業中、私は窓の外に目がいった。
7月にもなるのに、梅雨時の雨は止む気配がなく、勢いよく降り続いている。
授業が退屈過ぎて、私は頬杖をついてシャーペンを指で回して遊んでいた。
周りを見渡すと、ほとんどの生徒が真面目に授業を聞いておらず、一応話を聞いているかのように顔を先生の方に向かせているが、やがて顔を下に向け、カチカチと携帯の文を打つのに夢中になっていた。
それを見て私も、机の横に掛けてある学生カバンから携帯を取り出す。
いったん携帯を開いてはみたものの、送る相手が見当たらず仕方なく制服のポケットにしまった。
「はぁ…」
一息ため息を漏らすと、もう一度窓の外に目がいった。
不意に胸の中をざわざわと不安が募る。
もうすぐ夏休みになっちゃうのかぁ…。
一週間後には高校二年目の長い夏休みが迫っていた。
夏休みを目の前に、浮かない気持ちでいっぱいだった。
あれから一年が経っちゃうなぁ…。
去年の夏の出来事が頭の中を回想する。
大好きだった元彼の存在が、まだ心の中にある。
早く忘れたい気持ちとは裏腹に、あの時の別れが未だに未練を引きずっていた。