「だるい……」
健康優良児の葵だが、ここのところ体調がすぐれない。微熱が続き、怠くて仕方がない。
「結婚太り」なんて言葉は、葵には通用せず、結婚してからというもの、体重が減り続けていた。喜んだのは、最初だけで、疲れやすく、やる気が起きてこないなどの弊害が出てきていた。
その結果、免疫も落ちたらしく、こうして熱を出してしまった。
「効くかな……」
買いだめしてあったエナジードリンクを飲む。口に美味しいものではなく、葵の顔は歪む。
「良薬口に苦し」
効くことを信じ、一気に飲み干した。
「食欲もない」
昨日より怠さが増している。薬も飲んだがあまり効いていないようだ。
気怠い身体を奮い立たせ、朝食の支度に取り掛かる。
パンはクロワッサン、あらかじめカットしておいた野菜を、皿に盛り付け、インスタントのスープをカップに入れ、仁の分にはラップ、自分の分にお湯を注いだ。
「これ以上は無理」
いつもなら、スクランブルエッグとベーコン、ソーセージを用意するが、火を使って調理する気にもなれず、終わりにした。
洗濯もやめ、リビングのテレビで天気を確認。着て行く洋服の参考にする。
「寒気がするし、少し厚着にしようかな」
仕事を休みたい気持ちを押え、支度に取り掛かる。
「おはよう」
サラサラの髪でパジャマ姿の仁だ。寝起きの顔もまた隙がない。流石に見慣れたが、葵はまだドキッとしてしまう。
「あ、おはようございます。すみません、ちょっと寝坊してしまって……簡単な朝食になってしまいました」
上半身を横にソファで寝そべっていた葵は、あわてて起き上がる。
「気にしなくていい……コーヒーを淹れよう」
「あ、あの、私は結構です」
「……そうか」
コーヒーの刺激は欲しくなかった。断ってしまって悪かったかと落ち込む。
無言のまま仁を残し、葵は部屋で出勤の支度を始める。
洋服に着替え、洗面台で顔を洗い、部屋で化粧を始める。仁が用意した葵のドレッサーは、ただそこに座っているだけでも、女子力が上がるような気がして、葵のお気に入りの場所になっている。
メイクを済ませて、着替えると、ため息を吐きながら、通勤バッグを肩にかける。
チラリとリビングの様子を見ることが出来ない部屋の広さ。仁の様子が気になりキッチンへ行く。
仁は新聞を読みながら、自分で入れたコーヒーを飲んでいた。食事は済ませたらしく食器は流しに浸かっていた。
(食洗機に入れてくれればいいのに)心の中でつぶやく。
ついこのあいだ二人で買い物に行き、楽しかったのは、幻だったのだろうか? 家に着いて、夕食の支度を始め、食事をする頃にはいつもの仁になっていた。二人の腕からは体温が伝わってくるほどの距離で並んで歩いていた。葵が手を繋ごうと仁の手を取ったら、きっと強く握り返してくれるに違いないと思える程、心が近く感じられた。
なのに、あの時の仁はいない。葵は恥ずかしかった。つい嬉しくてはしゃぎ、おしゃべりになって声が枯れてしまうほど一人でおしゃべりをしていた。
夜、ベッドに横になると調子に乗ってしまった自分が恥ずかしかった。そして誓った。もう仁の態度に惑わされないと。
健康優良児の葵だが、ここのところ体調がすぐれない。微熱が続き、怠くて仕方がない。
「結婚太り」なんて言葉は、葵には通用せず、結婚してからというもの、体重が減り続けていた。喜んだのは、最初だけで、疲れやすく、やる気が起きてこないなどの弊害が出てきていた。
その結果、免疫も落ちたらしく、こうして熱を出してしまった。
「効くかな……」
買いだめしてあったエナジードリンクを飲む。口に美味しいものではなく、葵の顔は歪む。
「良薬口に苦し」
効くことを信じ、一気に飲み干した。
「食欲もない」
昨日より怠さが増している。薬も飲んだがあまり効いていないようだ。
気怠い身体を奮い立たせ、朝食の支度に取り掛かる。
パンはクロワッサン、あらかじめカットしておいた野菜を、皿に盛り付け、インスタントのスープをカップに入れ、仁の分にはラップ、自分の分にお湯を注いだ。
「これ以上は無理」
いつもなら、スクランブルエッグとベーコン、ソーセージを用意するが、火を使って調理する気にもなれず、終わりにした。
洗濯もやめ、リビングのテレビで天気を確認。着て行く洋服の参考にする。
「寒気がするし、少し厚着にしようかな」
仕事を休みたい気持ちを押え、支度に取り掛かる。
「おはよう」
サラサラの髪でパジャマ姿の仁だ。寝起きの顔もまた隙がない。流石に見慣れたが、葵はまだドキッとしてしまう。
「あ、おはようございます。すみません、ちょっと寝坊してしまって……簡単な朝食になってしまいました」
上半身を横にソファで寝そべっていた葵は、あわてて起き上がる。
「気にしなくていい……コーヒーを淹れよう」
「あ、あの、私は結構です」
「……そうか」
コーヒーの刺激は欲しくなかった。断ってしまって悪かったかと落ち込む。
無言のまま仁を残し、葵は部屋で出勤の支度を始める。
洋服に着替え、洗面台で顔を洗い、部屋で化粧を始める。仁が用意した葵のドレッサーは、ただそこに座っているだけでも、女子力が上がるような気がして、葵のお気に入りの場所になっている。
メイクを済ませて、着替えると、ため息を吐きながら、通勤バッグを肩にかける。
チラリとリビングの様子を見ることが出来ない部屋の広さ。仁の様子が気になりキッチンへ行く。
仁は新聞を読みながら、自分で入れたコーヒーを飲んでいた。食事は済ませたらしく食器は流しに浸かっていた。
(食洗機に入れてくれればいいのに)心の中でつぶやく。
ついこのあいだ二人で買い物に行き、楽しかったのは、幻だったのだろうか? 家に着いて、夕食の支度を始め、食事をする頃にはいつもの仁になっていた。二人の腕からは体温が伝わってくるほどの距離で並んで歩いていた。葵が手を繋ごうと仁の手を取ったら、きっと強く握り返してくれるに違いないと思える程、心が近く感じられた。
なのに、あの時の仁はいない。葵は恥ずかしかった。つい嬉しくてはしゃぎ、おしゃべりになって声が枯れてしまうほど一人でおしゃべりをしていた。
夜、ベッドに横になると調子に乗ってしまった自分が恥ずかしかった。そして誓った。もう仁の態度に惑わされないと。



