「さあ、二次会が始まる」
「はい」
合図をされたかのように、葵にスイッチが入った。背筋を伸ばして、仁の腕を組む。両開きのドアが開けられ、大きな歓声が二人を迎え、中に入って行った。
二次会は盛り上がりを見せ、当初の予定よりも1時間ほどオーバーして、終わりを迎えた。式も披露宴も二次会もすべて滞りなく終了した。
ワンピースに着替え、ロビーから車に乗り込むときに支配人を始め、多くのスタッフが葵と仁を見送る。
「本当にありがとうございました。何事もなく式次第が終わりましたこと、とても感謝しております。ありがとうございました」
仁は、支配人やスタッフに向け、挨拶をする。葵は仁の後ろに控え、一緒に頭を下げた。
「そのようなお言葉を頂き恐縮です。また、当ホテルをご利用くださいますよう、従業員一同心よりお待ち申し上げております」
ホテルスタッフは支配人の言葉と同時に一斉にお辞儀をした。
いつもする側の葵だが、される側から初めてみるととても気持ちのよいものだと感じた。
「そうさせて頂きます。ではこれにて失礼いたします。……葵」
「はい」
仁にエスコートされ、車に乗り込む。
続いて仁が乗り込むと車はホテルを後にした。
「お疲れさま」
「お疲れ様でした」
お互いを労う言葉をいい、何だか気持ちも温かい。しかし、隣同士に並んで座る二人には、距離がある。
「仁さん、お仕事は? 明日からですか?」
「あ、いや、明日は休むが明後日からは仕事にでる」
「わかりました」
葵は、新居の整理などもあり、一週間の休みを貰っている。どう時間を過ごしたら良いのか戸惑っていた葵は少しホッとする。
車内から外をみると都心の夜景がとても綺麗だった。道も空いていて灯りの流れる様子が、流れ星のようだと、センチメンタルな気持ちになる。
これから初めて他人との生活が始まる。
何もかも手さぐりでいくしかない。それはお互いにそうである。
仁の表情が変わらないのも不安の一つだ。
どんなものを好み、どういう事が嫌いなのか。それすらも分からないのは、暗闇で生活するのと同じだ。
仁は葵を尊重するに決まっている。ダメとは言わないだろうし、どんなわがままでも聞き入れてくれるだろう。
「お疲れ様でございました」
運転手が新居であるマンションに着いた事を知らせる。
「ああ、今日はご苦労さまでした」
「こんなことをして頂かなくても」
「いや、今日は業務外だったのに悪かったですね。それにおめでたいことなので、受けとって下さい」
仁は、運転手に心づけを渡していた。隣に立つ葵も、運転手に対して、礼を言う。
「では、遠慮なく」
「明日は聞いているでしょうが、休む予定です。明後日からは通常の仕事に行くので、よろしくおねがいします」
「畏まりました」
「さ、葵」
葵は軽く会釈する。
トランクから、頂いた花束を取り、荷物のボストンバッグを持つ。
半端じゃないお祝いの品を頂いた。それは後日ホテルから送られてくる予定だ。あれほどの贈り物をいただいた記憶はない。名波 仁に対して、忖度もあるだろうが、素直な気持ちで受け取る。
「前が見えないだろう」
抱えていた花束を仁が受取り、葵の手を繋いだ。ぎこちないと思っているのは、葵の方だけなのか、仁は、さりげなく手を繋ぐ。まだまだ照れもある葵だが、嫌な気持ちではない。ぎゅっと握り返すことはないにしても、それは恥ずかしいだけのことだ。
「はい」
合図をされたかのように、葵にスイッチが入った。背筋を伸ばして、仁の腕を組む。両開きのドアが開けられ、大きな歓声が二人を迎え、中に入って行った。
二次会は盛り上がりを見せ、当初の予定よりも1時間ほどオーバーして、終わりを迎えた。式も披露宴も二次会もすべて滞りなく終了した。
ワンピースに着替え、ロビーから車に乗り込むときに支配人を始め、多くのスタッフが葵と仁を見送る。
「本当にありがとうございました。何事もなく式次第が終わりましたこと、とても感謝しております。ありがとうございました」
仁は、支配人やスタッフに向け、挨拶をする。葵は仁の後ろに控え、一緒に頭を下げた。
「そのようなお言葉を頂き恐縮です。また、当ホテルをご利用くださいますよう、従業員一同心よりお待ち申し上げております」
ホテルスタッフは支配人の言葉と同時に一斉にお辞儀をした。
いつもする側の葵だが、される側から初めてみるととても気持ちのよいものだと感じた。
「そうさせて頂きます。ではこれにて失礼いたします。……葵」
「はい」
仁にエスコートされ、車に乗り込む。
続いて仁が乗り込むと車はホテルを後にした。
「お疲れさま」
「お疲れ様でした」
お互いを労う言葉をいい、何だか気持ちも温かい。しかし、隣同士に並んで座る二人には、距離がある。
「仁さん、お仕事は? 明日からですか?」
「あ、いや、明日は休むが明後日からは仕事にでる」
「わかりました」
葵は、新居の整理などもあり、一週間の休みを貰っている。どう時間を過ごしたら良いのか戸惑っていた葵は少しホッとする。
車内から外をみると都心の夜景がとても綺麗だった。道も空いていて灯りの流れる様子が、流れ星のようだと、センチメンタルな気持ちになる。
これから初めて他人との生活が始まる。
何もかも手さぐりでいくしかない。それはお互いにそうである。
仁の表情が変わらないのも不安の一つだ。
どんなものを好み、どういう事が嫌いなのか。それすらも分からないのは、暗闇で生活するのと同じだ。
仁は葵を尊重するに決まっている。ダメとは言わないだろうし、どんなわがままでも聞き入れてくれるだろう。
「お疲れ様でございました」
運転手が新居であるマンションに着いた事を知らせる。
「ああ、今日はご苦労さまでした」
「こんなことをして頂かなくても」
「いや、今日は業務外だったのに悪かったですね。それにおめでたいことなので、受けとって下さい」
仁は、運転手に心づけを渡していた。隣に立つ葵も、運転手に対して、礼を言う。
「では、遠慮なく」
「明日は聞いているでしょうが、休む予定です。明後日からは通常の仕事に行くので、よろしくおねがいします」
「畏まりました」
「さ、葵」
葵は軽く会釈する。
トランクから、頂いた花束を取り、荷物のボストンバッグを持つ。
半端じゃないお祝いの品を頂いた。それは後日ホテルから送られてくる予定だ。あれほどの贈り物をいただいた記憶はない。名波 仁に対して、忖度もあるだろうが、素直な気持ちで受け取る。
「前が見えないだろう」
抱えていた花束を仁が受取り、葵の手を繋いだ。ぎこちないと思っているのは、葵の方だけなのか、仁は、さりげなく手を繋ぐ。まだまだ照れもある葵だが、嫌な気持ちではない。ぎゅっと握り返すことはないにしても、それは恥ずかしいだけのことだ。



