披露宴は盛大に行われた。ホテルにある最大の宴会場を披露宴会場として、スタッフの動員数も通常の倍を配置していた。臨時のアルバイトを募集する案も取られたが、接客マナーが身につかない者を名波家の披露宴に配属されるのはどうかと、ホテル内で論議され、結果、他部署ではあるが、社員で取り仕切ることで、決着がついた。
葵は不安で家族を探したが、親族は、ひな壇から離れた場所に席がある。傍にいない不安は、計り知れない。
司会が進行を初め、入場を待つだけの二人は、会場に入る扉の外にスタンバイしていた。
お色直しは3回。色打掛、ウエディングにイブニングドレス。あのデザイナーだともっとフリルとレースが沢山あしらわれたデザインになるかと懸念していたが、全くそうではなくシンプルでも上質なシルクとヘム部分にフランスレースがあしらわれていただけで、大げさな膨らみもなく小柄な葵を少しでも長身に見えるようなドレスだった。胸元が少し開いていたけれど、上品さは失われていない。綾のドレスをデザインしたデザイナーなことはある。
色もとてもいいニュアンスのオフホワイトで葵の肌色にとてもよくあっていた。
イブニングドレスは葵の好きな黄色になった。何も要求しない葵に、綾が好きな色は何かと聞き、黄色に決定したのだった。
披露宴が始まる最初の入場では、色打掛で、吉祥文様、鶴、束ね熨斗、桜、貝桶、花車と縁起がいい文様は全て織り込まれた贅沢さだ。白無垢よりも重く感じられるのは、披露宴開始時に、既に、葵に疲れが見え始めているからだろう。
お色直しの為に入退場するが、その度に、戻りたくないと思っていたことは、言えない。
仁はお色直しの度に、「良く似合っている」「綺麗だ」と照れながらも言っていた。
披露宴はお決まりのコースをたどった。ケーキカットにキャンドルサービス。どれも恥ずかしかった葵だが、家族の席にキャンドルサービスに行った時は思わず涙がこぼれた。
「葵、とても綺麗よ」
「ありがとう、お母さん」
同じく、母、恵美子も娘の晴れ姿に涙していた。
仁はこの涙をどう受け止めたのだろう。そっとハンカチをだし、葵の涙を拭っていた。
雛壇に戻ると、後は来賓の挨拶が続く。
「少し何か食べたほうがいい」
「はい」
「フルーツだったら食べられるか?」
「はい」
「わかった」
仁はずっと葵が何も口にしていないのを気にしていたのだ。傍に仕えるウエイターを呼ぶと、葵のフルーツをカットして持ってきてほしいと頼んだ。
「あともう少し。がんばろう」
「はい」
葵は不安で家族を探したが、親族は、ひな壇から離れた場所に席がある。傍にいない不安は、計り知れない。
司会が進行を初め、入場を待つだけの二人は、会場に入る扉の外にスタンバイしていた。
お色直しは3回。色打掛、ウエディングにイブニングドレス。あのデザイナーだともっとフリルとレースが沢山あしらわれたデザインになるかと懸念していたが、全くそうではなくシンプルでも上質なシルクとヘム部分にフランスレースがあしらわれていただけで、大げさな膨らみもなく小柄な葵を少しでも長身に見えるようなドレスだった。胸元が少し開いていたけれど、上品さは失われていない。綾のドレスをデザインしたデザイナーなことはある。
色もとてもいいニュアンスのオフホワイトで葵の肌色にとてもよくあっていた。
イブニングドレスは葵の好きな黄色になった。何も要求しない葵に、綾が好きな色は何かと聞き、黄色に決定したのだった。
披露宴が始まる最初の入場では、色打掛で、吉祥文様、鶴、束ね熨斗、桜、貝桶、花車と縁起がいい文様は全て織り込まれた贅沢さだ。白無垢よりも重く感じられるのは、披露宴開始時に、既に、葵に疲れが見え始めているからだろう。
お色直しの為に入退場するが、その度に、戻りたくないと思っていたことは、言えない。
仁はお色直しの度に、「良く似合っている」「綺麗だ」と照れながらも言っていた。
披露宴はお決まりのコースをたどった。ケーキカットにキャンドルサービス。どれも恥ずかしかった葵だが、家族の席にキャンドルサービスに行った時は思わず涙がこぼれた。
「葵、とても綺麗よ」
「ありがとう、お母さん」
同じく、母、恵美子も娘の晴れ姿に涙していた。
仁はこの涙をどう受け止めたのだろう。そっとハンカチをだし、葵の涙を拭っていた。
雛壇に戻ると、後は来賓の挨拶が続く。
「少し何か食べたほうがいい」
「はい」
「フルーツだったら食べられるか?」
「はい」
「わかった」
仁はずっと葵が何も口にしていないのを気にしていたのだ。傍に仕えるウエイターを呼ぶと、葵のフルーツをカットして持ってきてほしいと頼んだ。
「あともう少し。がんばろう」
「はい」



