結婚式当日。
外はまさに日本晴れ、気分も良く起床した。
立花家一家は、葵の勤めるプレシャスホテルのスウイートルームに前日から宿泊していた。仁の父親、克典の配慮によるものだ。
葵はホテルで白無垢の支度をして、神社へと向かう予定だ。お昼からの披露宴に合わせて、10時からとり行われることとなった。
昨晩、葵は家族を前に、嫁ぐ前の挨拶をした。父、義孝は、そもそも見合いを断ればよかった。安易に受けてしまった事をまだ後悔していた。
「おやじさあ、もう今さらなんだよ」
スイートルームに初めて泊まる翔は、落ち着かない様子で、ベッドなどに飛び乗り、楓共々遊んでいた。
「そうなんだが……」
「お父さん、まだそんな事を言っているの? 葵を笑顔で嫁がせてやらなくてどうするのよ」
トランクから、家族の荷物をクローゼットに収納している、恵美子は半ばあきれ顔だ。
「なんかさあ、これって、時代劇みたいだよな」
翔がぴょんぴょんとベッドで跳ねていると、楓も同じように言った。
「将軍が側室にと目を付けたお女中は、断れないってやつね」
「そうそう」
変な例えをするのをやめなさい、と、恵美子が双子の尻を叩いた。
「お父さん、私は十分幸せよ。名波さんは良くしてくれるし、ご両親も……何から何まで全ての事を負担して下さったでしょ?」
「まあな、でも、何か嫌な事があったらすぐに帰って来ていいんだからな。お父さんは会社で、必要不可欠な地位になっているから、クビになんかさせないからな。いいな、葵」
「はい、はい」
義孝がくすぶっているのも分かる。数回しか会っていない仁だが、誠実な人物だということは分かっている。仕事では肩肘を張って頑張っているのだろうから、家庭は寛げる場所にしてあげたいと、少なからず葵は思っている。たった一度のデートだけが、葵の気持ちを安定させている。
そして嫁ぐ前の晩は、仁が家族で食事をと、ホテルのフレンチレストランに予約を入れ、葵達は感慨深げに家族で食事をしたのだった。何から何まで至れり尽くせりのこの状態に、彼女が嬉しいかと言うと、そうではなく、格差を感じずにはいられず、そして、義孝の男として、父親としてのプライドを傷つけてしまってはいないかと、気にせずにはいられない。
人は、良かれと思ってしたことでも、人にはそうじゃないこともある。それを葵は感じていた。
外はまさに日本晴れ、気分も良く起床した。
立花家一家は、葵の勤めるプレシャスホテルのスウイートルームに前日から宿泊していた。仁の父親、克典の配慮によるものだ。
葵はホテルで白無垢の支度をして、神社へと向かう予定だ。お昼からの披露宴に合わせて、10時からとり行われることとなった。
昨晩、葵は家族を前に、嫁ぐ前の挨拶をした。父、義孝は、そもそも見合いを断ればよかった。安易に受けてしまった事をまだ後悔していた。
「おやじさあ、もう今さらなんだよ」
スイートルームに初めて泊まる翔は、落ち着かない様子で、ベッドなどに飛び乗り、楓共々遊んでいた。
「そうなんだが……」
「お父さん、まだそんな事を言っているの? 葵を笑顔で嫁がせてやらなくてどうするのよ」
トランクから、家族の荷物をクローゼットに収納している、恵美子は半ばあきれ顔だ。
「なんかさあ、これって、時代劇みたいだよな」
翔がぴょんぴょんとベッドで跳ねていると、楓も同じように言った。
「将軍が側室にと目を付けたお女中は、断れないってやつね」
「そうそう」
変な例えをするのをやめなさい、と、恵美子が双子の尻を叩いた。
「お父さん、私は十分幸せよ。名波さんは良くしてくれるし、ご両親も……何から何まで全ての事を負担して下さったでしょ?」
「まあな、でも、何か嫌な事があったらすぐに帰って来ていいんだからな。お父さんは会社で、必要不可欠な地位になっているから、クビになんかさせないからな。いいな、葵」
「はい、はい」
義孝がくすぶっているのも分かる。数回しか会っていない仁だが、誠実な人物だということは分かっている。仕事では肩肘を張って頑張っているのだろうから、家庭は寛げる場所にしてあげたいと、少なからず葵は思っている。たった一度のデートだけが、葵の気持ちを安定させている。
そして嫁ぐ前の晩は、仁が家族で食事をと、ホテルのフレンチレストランに予約を入れ、葵達は感慨深げに家族で食事をしたのだった。何から何まで至れり尽くせりのこの状態に、彼女が嬉しいかと言うと、そうではなく、格差を感じずにはいられず、そして、義孝の男として、父親としてのプライドを傷つけてしまってはいないかと、気にせずにはいられない。
人は、良かれと思ってしたことでも、人にはそうじゃないこともある。それを葵は感じていた。



