「姉の私がいうのもおかしいけど、仁ってあの容姿でしょ? 女は黙っていても寄ってくるのよ。あ、でも、誰でもいいって訳じゃなくて、意外と女性と付き合った経験はないのよ。それに、付き合っても仁を連れて歩くのがステータスになってしまう女性たちは、仕事が優先で、まめじゃない、口数も少なく面白みがない仁に、こんなはずじゃなかったと、フラれちゃうの。おかしいでしょ」
綾は肩をすくめて笑った。
綾が語る仁の姿は、家族だから本当のことなのだろう。仁もいい大人だ。それなりの女性関係があってもおかしくはない。綾は、何も知らないだろう仁の過去を、葵にあえて話をした。聞くことが出来ないだろう葵に、姉として話した。恋愛結婚じゃない二人は、いずれ些細なことが気になり始める。今、面白おかしく話しておけば、少しは葵の気になることもなくなるのではないかと、綾は考えた。
葵は、黙って大将の握るお寿司を食べながら、綾の話を聞く。過去の女性の話は、知りたいような、知りたくないような複雑な女心はある。だが、これからの時間を葵と過ごすのであれば、それは問題ではない。綾の話すことは、ただの好奇心から聞いている。見合いである自分と、仁と付き合ってきた女性を比べるにしても、恋から始まっていない葵達とでは、比べようがない。
「口もうまくないし、不器用なあの子がお見合いをして結婚を決めたって報告を受けて、本当にびっくりしたわ。仁が結婚の相手として選んだ子はどんな人なのだろうと興味も湧いた……葵ちゃん」
「は、はい」
綾の真剣な話しに耳を傾けながらも、心の中は、仁の過去の女性関係に対して、嫉妬心もなく、他人事のように聞いてしまっていた。ただただ、目の前に握られる美味な寿司を、ほおばっていた。
「仁は会社人間、仕事人間な子よ。でも葵ちゃんは別みたい。あの子にとって仕事が一番だったけれど、今は葵ちゃんね。私も葵ちゃんが義妹になってくれてとても嬉しいわ。これからも仁の事をよろしくね」
綾は酒の入ったグラスを目線の高さまで上げ、首を傾げた。葵の知らない仁の姿。一日が過ぎると結婚へ近づき、やっていけるだろうかと不安に駆られていた。綾に会って話を聞いてもその不安は取り除けない。仁本人との絆が無さすぎだ。
「は、はい。こちらこそ宜しくお願いします」
葵は横に座る綾に向きを変え、頭を下げた。綾が言った通り、葵が一番になっているならば、どうしてここまでそっけないのだろう。納得の行かない綾の話しに返事をしつつ、ふと考えた。
綾は肩をすくめて笑った。
綾が語る仁の姿は、家族だから本当のことなのだろう。仁もいい大人だ。それなりの女性関係があってもおかしくはない。綾は、何も知らないだろう仁の過去を、葵にあえて話をした。聞くことが出来ないだろう葵に、姉として話した。恋愛結婚じゃない二人は、いずれ些細なことが気になり始める。今、面白おかしく話しておけば、少しは葵の気になることもなくなるのではないかと、綾は考えた。
葵は、黙って大将の握るお寿司を食べながら、綾の話を聞く。過去の女性の話は、知りたいような、知りたくないような複雑な女心はある。だが、これからの時間を葵と過ごすのであれば、それは問題ではない。綾の話すことは、ただの好奇心から聞いている。見合いである自分と、仁と付き合ってきた女性を比べるにしても、恋から始まっていない葵達とでは、比べようがない。
「口もうまくないし、不器用なあの子がお見合いをして結婚を決めたって報告を受けて、本当にびっくりしたわ。仁が結婚の相手として選んだ子はどんな人なのだろうと興味も湧いた……葵ちゃん」
「は、はい」
綾の真剣な話しに耳を傾けながらも、心の中は、仁の過去の女性関係に対して、嫉妬心もなく、他人事のように聞いてしまっていた。ただただ、目の前に握られる美味な寿司を、ほおばっていた。
「仁は会社人間、仕事人間な子よ。でも葵ちゃんは別みたい。あの子にとって仕事が一番だったけれど、今は葵ちゃんね。私も葵ちゃんが義妹になってくれてとても嬉しいわ。これからも仁の事をよろしくね」
綾は酒の入ったグラスを目線の高さまで上げ、首を傾げた。葵の知らない仁の姿。一日が過ぎると結婚へ近づき、やっていけるだろうかと不安に駆られていた。綾に会って話を聞いてもその不安は取り除けない。仁本人との絆が無さすぎだ。
「は、はい。こちらこそ宜しくお願いします」
葵は横に座る綾に向きを変え、頭を下げた。綾が言った通り、葵が一番になっているならば、どうしてここまでそっけないのだろう。納得の行かない綾の話しに返事をしつつ、ふと考えた。



