「何かお飲みになりますか?」
「そうね……葵ちゃんはいける口?」
「はい」
「そう。それじゃあ、冷酒を頂こうかしら」
「畏まりました」
「大将、久しぶりの日本なの。おススメをどんどん握って」
綾はおしぼりで手を拭きながら、注文する。
「わかりました」
「葵ちゃん、好き嫌いは?」
「いいえ! 何でも、いただきます」
「そう、それじゃ、じゃんじゃん食べましょう」
「はい」
カウンターで食べる初めてのお寿司に興奮する。作法など知らなくて、握る寿司屋は入ったことがなかった。葵はもっぱら回るお寿司専門である。周りには、一組の客がテーブル席に座っていた。
「仁さんもお店にはよく来られるんですか?」
綾に聞くが、綾は大将に聞き直す。
大将は、白木の付け台を晒しで拭き、笹を敷く。
「大将、どう? 仁は来る?」
「ええ、二週間くらい前にいらっしゃいましたかねえ。いつもの秘書の方といらっしゃいましたよ」
一瞬、葵の顔は怒ったように見えた。その時間があるなら、打ち合わせに来たらいい。そう思っている。少しむくれた顔が、そう言っていた。
「ああ、潤ね」
「お待たせしました」
女将が冷酒とグラスを置いて、それぞれに注ぐ。
「何に乾杯しようかしら? うーん、そうね……葵ちゃんとの初めての顔合わせに」
「はい」
「乾杯」
「乾杯」
グラスを合わせ、乾杯をした。二人してグイッと飲む。冷たい酒が食道を通り、胃にはいるとカッと熱くなる。葵は、御猪口を顔の前で止め、身体の中に流れていく酒を、感じていた。
それに合わせたかのように、大将がお通しを出す。
「葵ちゃん。仁って無愛想でしょ。それに仕事ばっかりしているし」
綾が葵のお猪口に酒を注ぐ。それを葵が受ける。
「えっと、まだ4回くらいしか会っていないのでわかりません」
「え? 4回?」
葵は自分で仁と会った回数を口にだして自分でもびっくりした。結婚と言う人生の伴侶を持つのにたったの4回だ。挙式はまだ先だが、仁のあの調子では、これから会う回数が増えるか、期待は出来ない。
「まあ、普通はびっくりしますよね」
綾は、葵の方を見て黙る。会社の為の政略結婚ではない。どうみても葵は、一般の家庭で育った感じだ。葵の答えからすると、葵は仁と見合いで結婚を決めた。仁は葵を見初めて見合いを持ちかけた。そう考えるのが一番しっくりくる。自分の生まれ育った環境が、どういうものなのか分かっている綾は、すぐに仁の考えていることを察知した。そして、葵は、仁のことをまだ異性として受け入れていないことも。自分の中で推理して、頷く。
綾は、話題を変えようと、葵に、仁の事を話し始めた。
「そうね……葵ちゃんはいける口?」
「はい」
「そう。それじゃあ、冷酒を頂こうかしら」
「畏まりました」
「大将、久しぶりの日本なの。おススメをどんどん握って」
綾はおしぼりで手を拭きながら、注文する。
「わかりました」
「葵ちゃん、好き嫌いは?」
「いいえ! 何でも、いただきます」
「そう、それじゃ、じゃんじゃん食べましょう」
「はい」
カウンターで食べる初めてのお寿司に興奮する。作法など知らなくて、握る寿司屋は入ったことがなかった。葵はもっぱら回るお寿司専門である。周りには、一組の客がテーブル席に座っていた。
「仁さんもお店にはよく来られるんですか?」
綾に聞くが、綾は大将に聞き直す。
大将は、白木の付け台を晒しで拭き、笹を敷く。
「大将、どう? 仁は来る?」
「ええ、二週間くらい前にいらっしゃいましたかねえ。いつもの秘書の方といらっしゃいましたよ」
一瞬、葵の顔は怒ったように見えた。その時間があるなら、打ち合わせに来たらいい。そう思っている。少しむくれた顔が、そう言っていた。
「ああ、潤ね」
「お待たせしました」
女将が冷酒とグラスを置いて、それぞれに注ぐ。
「何に乾杯しようかしら? うーん、そうね……葵ちゃんとの初めての顔合わせに」
「はい」
「乾杯」
「乾杯」
グラスを合わせ、乾杯をした。二人してグイッと飲む。冷たい酒が食道を通り、胃にはいるとカッと熱くなる。葵は、御猪口を顔の前で止め、身体の中に流れていく酒を、感じていた。
それに合わせたかのように、大将がお通しを出す。
「葵ちゃん。仁って無愛想でしょ。それに仕事ばっかりしているし」
綾が葵のお猪口に酒を注ぐ。それを葵が受ける。
「えっと、まだ4回くらいしか会っていないのでわかりません」
「え? 4回?」
葵は自分で仁と会った回数を口にだして自分でもびっくりした。結婚と言う人生の伴侶を持つのにたったの4回だ。挙式はまだ先だが、仁のあの調子では、これから会う回数が増えるか、期待は出来ない。
「まあ、普通はびっくりしますよね」
綾は、葵の方を見て黙る。会社の為の政略結婚ではない。どうみても葵は、一般の家庭で育った感じだ。葵の答えからすると、葵は仁と見合いで結婚を決めた。仁は葵を見初めて見合いを持ちかけた。そう考えるのが一番しっくりくる。自分の生まれ育った環境が、どういうものなのか分かっている綾は、すぐに仁の考えていることを察知した。そして、葵は、仁のことをまだ異性として受け入れていないことも。自分の中で推理して、頷く。
綾は、話題を変えようと、葵に、仁の事を話し始めた。



