地下鉄に乗り、銀座へ向かう。
待ち合わせに指定された場所は、高級ホテルだ。それだけでも葵には、憂鬱で、ため息ばかり出ていた。
会社経営者の妻となると、こうした場所にも出入りがあるだろう。今の内に慣れた方がいいと、昨夜母親と話したばかりだ。
「あった」
地下鉄の出口から直結しているホテルで、アクセスはいい。改札を出ると、すぐに入り口があった。
一瞬、エレベーターと階段で迷い、階段を選んでロビーに向かう。
葵自身もホテル勤務故に、色々な所が目に付く。きょろきょろとしながら歩く姿は、迷子の様だ。
「悔しいけど、素敵」
葵は、自身が勤めるホテルと比べてしまった。
腕時計を見ると、待ち合わせた時間には、まだ余裕がある。葵は、遠回りをするように、ホテル内を回った。モダンなデザインがラグジュアリー感を出していた。そして何より、ホテルマンの動きが気になった。
「う~ん、う~ん」
怪しまれない程度に、じっと見ている。何度かこのホテルに来たことが事があった。しかし、料金の高さに利用したことはない。自腹を切るほどの熱心さはないのだ。今日はいい機会だと、待ち合わせの時間よりも早く行こうと決めていた。ホテル内を散歩する振りをして歩いていると、待ち合わせをしているロビーに、一際目立つ男を発見する。仁だった。
「え? もういるの?」
葵は思わず、腕時計を確認する。遅刻はしていない。遠目から見ているからかもしれないと、葵は、少しづつその場所に近づく。スーツ姿しか見たことがない葵は、カジュアルな服装の仁に、本人か確信が持てず、凝視をやっと確信ができた。目立つ身長と容姿、紛れもなく仁だ。のんびりとしていられないと思った葵は、早歩きで、仁のいるロビーに向かった。
「こんにちは」
葵は、仁が座っているテーブルの傍に行き、挨拶をする。仁はスマホを見ていた。顔を上げて葵を確認すると、仁も立ち上がり挨拶を返す。
「あ、どうぞ」
座る方向の椅子に手を指し延ばす。
「はい」
葵は、言われた通りに、仁の向かいの席に座った。
「お待たせしてしまいましたか?」
「いや、早く来すぎたんだ、慌てることも無かったのに」
「いえ、ごめんなさい」
「……」
「……」
どちらかが口を割らないと、会話はない。ロビーでいつまでも座っているわけにも行かない。葵は、手持無沙汰で、髪を触ったりしていた。痺れをきらした葵が、口を開く。
「あの……どこに行きましょうか」
「……その、これから必要な物を買いに行こうと思って」
「ああ……行きます?」
「ああ」
葵が、心の中で深くため息を吐いた。二人で席を立つと、葵は仁の後について歩く。
ホテルを出て、通りを暫く歩くと、宝飾店の前に着く。仁は、葵を振り返ることもなく店に入る。
ドアマンが扉を開け、中に入る。たじろぐ葵を残して、さっさと中に入って行く。葵は、後を追うように中に入った。
ドアマンと仁が一言二言会話して、案内される。葵も仁の後ろからついていく。仁が向かった先は、ブライダルジュエリーのコーナーだった。
待ち合わせに指定された場所は、高級ホテルだ。それだけでも葵には、憂鬱で、ため息ばかり出ていた。
会社経営者の妻となると、こうした場所にも出入りがあるだろう。今の内に慣れた方がいいと、昨夜母親と話したばかりだ。
「あった」
地下鉄の出口から直結しているホテルで、アクセスはいい。改札を出ると、すぐに入り口があった。
一瞬、エレベーターと階段で迷い、階段を選んでロビーに向かう。
葵自身もホテル勤務故に、色々な所が目に付く。きょろきょろとしながら歩く姿は、迷子の様だ。
「悔しいけど、素敵」
葵は、自身が勤めるホテルと比べてしまった。
腕時計を見ると、待ち合わせた時間には、まだ余裕がある。葵は、遠回りをするように、ホテル内を回った。モダンなデザインがラグジュアリー感を出していた。そして何より、ホテルマンの動きが気になった。
「う~ん、う~ん」
怪しまれない程度に、じっと見ている。何度かこのホテルに来たことが事があった。しかし、料金の高さに利用したことはない。自腹を切るほどの熱心さはないのだ。今日はいい機会だと、待ち合わせの時間よりも早く行こうと決めていた。ホテル内を散歩する振りをして歩いていると、待ち合わせをしているロビーに、一際目立つ男を発見する。仁だった。
「え? もういるの?」
葵は思わず、腕時計を確認する。遅刻はしていない。遠目から見ているからかもしれないと、葵は、少しづつその場所に近づく。スーツ姿しか見たことがない葵は、カジュアルな服装の仁に、本人か確信が持てず、凝視をやっと確信ができた。目立つ身長と容姿、紛れもなく仁だ。のんびりとしていられないと思った葵は、早歩きで、仁のいるロビーに向かった。
「こんにちは」
葵は、仁が座っているテーブルの傍に行き、挨拶をする。仁はスマホを見ていた。顔を上げて葵を確認すると、仁も立ち上がり挨拶を返す。
「あ、どうぞ」
座る方向の椅子に手を指し延ばす。
「はい」
葵は、言われた通りに、仁の向かいの席に座った。
「お待たせしてしまいましたか?」
「いや、早く来すぎたんだ、慌てることも無かったのに」
「いえ、ごめんなさい」
「……」
「……」
どちらかが口を割らないと、会話はない。ロビーでいつまでも座っているわけにも行かない。葵は、手持無沙汰で、髪を触ったりしていた。痺れをきらした葵が、口を開く。
「あの……どこに行きましょうか」
「……その、これから必要な物を買いに行こうと思って」
「ああ……行きます?」
「ああ」
葵が、心の中で深くため息を吐いた。二人で席を立つと、葵は仁の後について歩く。
ホテルを出て、通りを暫く歩くと、宝飾店の前に着く。仁は、葵を振り返ることもなく店に入る。
ドアマンが扉を開け、中に入る。たじろぐ葵を残して、さっさと中に入って行く。葵は、後を追うように中に入った。
ドアマンと仁が一言二言会話して、案内される。葵も仁の後ろからついていく。仁が向かった先は、ブライダルジュエリーのコーナーだった。



