眠れない夜には





『…お兄ちゃんは…

どんな人でしたか…』


あれ、私何言ってるんだろ、

どんな人って…家族の私がいちばん
よく知ってるはずなのに。


「なで、こ…?」


奏汰くんも驚いてる
当たり前だ。さっきまでお兄ちゃんの
話なんか1ミリもしなかったのに
急にこんな話題をだしたから。


『…っ』

なんでだっけ、なんで、泣いてるの

しっかりしなきゃ、わたし。

そんな様子の私の肩をおして
ソファーに招きながら奏汰くんは
口をひらく。


「あいつはな~どんなことも楽しいイベントに変えてくれるって感じだったな。そのせいかサークルでもモテてたし
お調子者キャラだったよ。

…家族想いだったんだな。

撫子の話がいちばん多かった。

だから安心しろ、お前のお兄ちゃんはちゃんとお前のこと大好きだったから。」


奏汰くんは察していたんだ。わたしが本当に聞きたかったことを…

どんな人だったか、じゃない

私のことを、大切に思っていてくれていたか、を聞きたかったの。

『…っあ、ぁあ…』

嗚咽が漏れる。

悲しいんじゃない、嬉しいの。


「こんな妹がいて、
辰也はきっと幸せだよ」

だから泣くな、が耳の奥へ
すぅっと消えていった。