【短編】穴

あからさまに、面倒臭そうなお兄ちゃんを尻目に、私はあちこち探索し始めた。


母屋の北側へ回ると、農機具の置いてある納屋に辿り着いた。


トラクターが2台。コンバインが2台。あと、これはなんだろう? 


3メートル位の高さがある四角い機械が、さっきから音を立てて、何やら穴から茶色い煤のようなものを出している。 


「これ、なんだろうね?」


「知るか、そんなもん!」


相変わらず、無愛想なお兄ちゃんに腹が立つ。


でも、なんだかんだ文句を言いながらも、一緒に来てくれることに自然と顔が綻ぶ。