【短編】穴

「落ちてからが、さぁ大変!どこから這い上がろうかと、あの先を歩いたら道があったらしいわ。なぁ、おじいさん!」


「さぁな…」


首を傾げ、おじいちゃんはあくまで知らん顔している。 


なんだかものすごく興味深かった。 


昨夜、見た、あの怖い夢とあまりにも似ていたから。 


おじいちゃんがあの先で見つけたものは――? 


皆、一斉におばあちゃんの次の言葉を待つ。 



「嘘か本当か、便所と蔵が繋がってると思ったおじいさんは、ひたすらあの道を歩いたらしいわ」


「…で、繋がってたの?」


腕を組んだまま、黙っているおじいちゃんの顔を覗き込んだ。


「どうだった?おじいさん」


今度は、おばあちゃんが尋ねた。