【短編】穴



ふと、あのことを聞いてみたくなった。


「ねぇねぇ、あそこの車庫の裏にある小屋って…?」


「あぁ。あそこは、昔、使っていた便所だよ」


―――…!! 


思わず、お兄ちゃんと目が合った。 


やっぱり、そうだったんだ……。


「でも、なんで、あんなに板を置いてるの?」


「あぁ。落ちたら危ないからな」


アハハ…とおじいちゃんが笑っている。 


何が、そんなに可笑しいのだろう。


「危ないって…?」


そんな疑問を、一瞬のうちに払い除けたのは、おばあちゃんの一言だった。