【短編】穴

わらにも縋る思いで、手を繋ぎ、唇を噛み締めた。


「行くぞ!」


その合図で、ギュッと目を瞑り、その穴に飛び込んだ――。 
















ドサッ。


倒れこんだそこは、予想に反し、臭いもなく、硬い土の上だった。


穴の上から、二つの目玉が覗き込む。 


「こんなとこに入りやがって。馬鹿な糞ガキどもだ!」


そう吐き捨てるように言い、男はその場を立ち去った。 


――…助かった。 


恐怖から解放された安堵感からお兄ちゃんの胸に縋り付き、涙を流した。  


「とりあえず、助かったな」


意外なほど冷静なお兄ちゃんに、少し拍子抜けした。

さて、ここからどうやって這い上がろうか。 


見上げると、三メートルはある。


またしても、不安に駆られる。