【短編】穴

大急ぎで板を避け、あの暗闇の中に入った。 


「糞ガキ、こんなところに逃げやがって!」


暗闇の中、男の目玉だけが恐ろしい程にギョロっと光っている。


この後のことは、容易に想像できる。


このままなら二人とも……。

いや、そんなの。


ブルンブルンと頭を横に振り、恐怖におののいた。


「ねぇ、お兄ちゃん…」 

消え入りそうな声で助けを求める。


「覚悟はあるか?」 


「でも…」


「このまま殺されたいのか!」


ビクッと、肩を竦めた。


殺される……そんなの嫌だよ。


怖いよ。助けて……。