【短編】穴

「そろそろ、中、入ろうか?」 


「あぁ」


都会生活に慣れてしまった私にはクーラーを使わないという習慣が、驚きと同時に新鮮だった。 


昼間はさすがにクーラーなしではいられないけれど、夜ともなると、涼しい風が心地よい。


あの暑がりなお兄ちゃん兄ですら「自然のクーラーだ」と言ったくらい。 


本当に夜になると、涼しかった。


テレビを付けていたものの、だんだんと眠気に襲われてきた。


お父さんやお母さんが上がってくるのを待っていたけど、そのあとの記憶があまりない。


「電気、消すぞ」


お兄ちゃんがそう言ったような気がするけど……。


私は知らぬ間に眠りに就いていた――。