別れの最終地点

「なんだ、誠也、憧れてんのか?」


突然口を開いた父。どうやら、興味を示したみたい。



「あ、誠也、あの子は?最近どうなの?」


母までもが椅子に座り出して、話に入ってきた。


母が言う、"あの子"とは、お兄ちゃんの彼女の優子さんのこと。


すごく美人で、とても優しい人。
何度かうちに遊びに来ては、一緒にご飯を食べたり、泊って行ったりする。



「普通」

「もーう、お兄ちゃん、優子さんの話全然しないもん。つまんなーい」

「なんで妹に彼女の話しなきゃなんねーんだよ」






いつも思う。
この家族は平凡で幸せだ。


「あ、そろそろ時間よ、お弁当包むからちょっと待って!」