オレの周りを漂うハテナの量がポンポン増えたと思ったら、風家はガシッと壁に立て掛けてあった自分のカバンを引っ掴む。


恐らくすぐ帰れる様に用意しておいたのだろう。


「ごめんなさい村星君!脚立は置いといていいって日沼先生が言ってたので、村星君もお早めにご帰宅下さい!それでは!!」


胸元にカバンを抱え込んで、バタバタと走り去ってしまった。


「な、何だったんだ………?」


オレの気のせいじゃなかったら、アイツ……逃げたよな?


今までオレと話して顔を赤らめる女はわんさかいたけど、逃げ出した女なんて初めてだ………