さりげなく妻を宥め、オレ達の意見を聞いてくれるおじさんは、やっぱり所家のトップだけある。


「ハイ。和果には、これからきっとスゲェ大事にしてくれる人が現れると思います」


「お父様、お母様、私も結婚する相手は自分で選びます。喜仁の幸せは喜仁の物ですから…私も私の選択をさせて下さい」


オレと和果がそれぞれ強い意志を込めて言い切ると、広い和室が静寂に包まれる。


視界の片隅で湖柚の方を見ると、相変わらず呆けていたが――――…よくよく見ると、両目がうっすらと潤んでいた。


湖柚……その反応は、期待してもいいのか………?