フラフラと覚束ない足取りで廊下を歩き、誰もいない階段の近くで立ち止まった。


「フッ…ヒック……」


両足が止まった途端、代わりに両目から涙が溢れ出てきた。


幼い頃から他人を警戒し続けていた私を、長年の呪縛から解き放ってくれた王子様。


メイクしてスカート短くして、多少は変われたと思ってた。


だけどやっぱり王子様には…所さんみたいな元からのお姫様が隣にいるのが相応しい。


「村星君……さみしいよ」


“人の話をちゃんと聞く事”


人として当たり前の事すら忘れていた私は、暫くその場で静かに涙を流していた。