小さく囁く様に言うと、村星君の動きがピタリと止まった。


「婚約者がいるのに、他の女の子に優しくしちゃダメだよ村星君……所さんが傷ついちゃう」


「湖、柚――――…」


「今までいっぱい優しく親切にしてくれた事には、感謝してる。だけど私、フィアンセがいる人と必要以上に仲良くは………もうムリ」


私は村星君が好きだ。


でも美男美女でお似合いの2人の間に割り入ってまでアタックしようだなんて、考えられない。


「バイバイ、村星君……所さんと仲良くね」


最後にそれだけ言って、緩んだ村星君の手を剥がして外に出る。