勢いよく駆け出したオレは、未だに固まっている鞠目と猫野の間を通って湖柚の後を追いかける。


「村星君!」


「ちょっとシュウ、私の目見なっ!!」


戸惑い気味の鞠目の声とシュウにブチギレている猫野の声を無視して、ひたすら走った。


しかし湖柚はかなり全速力で走っているのか、小学校の運動会では毎年リレーの選手に選ばれていたオレでもなかなか距離が縮まらない。


「チッ…!オレから離れるんじゃねぇよ………っ!」


左右に揺れるキレイな長い茶色の髪の毛が、何だかとてもとても遠く感じた。


「湖柚っ!人の話聞けっ!!」