「和果、お前いい加減黙れよ」


ギロッと睨みつけると、笑いを治める。


しかし次の瞬間、何かを訴えかける様なマジメな表情を向けてきた。


「喜仁…風家さんの事を好きなのはいいけれど…私達の事は彼女、知らないんでしょう……?」


真っ直ぐ真剣な声に、オレの体の動きはピタリと停止した。


ザァッと、夏の風がオレの髪の毛を巻き上げる。


「………どういう道を選ぶのかは、その人自身だろ?」


淡々と呟いた、その一言は……


オレ自身と湖柚、両方に向かって言った言葉だったのかもしれない。


「――――…そうね」