「なぁ、お前、ほんとに好き
な人居ないの?」
と、あっちゃんが聞いてきた。
「い、居ないよー。」
私は誤魔化した。
だって、今言ったら、今の関係が崩れるかもしれない。
それなら、自分の心のなかに秘めておいて、今のまま、ずっといられた方がずっといいから…。
「そうなのか…。」
と、あっちゃんが言って、
「俺は…」
あっちゃんが言いかけた時、
『キキーッッ!!!』
すごく大きなブレーキ音と共に、大型トラックが、私に目掛けて突っ込んできた。
「危ないっっっ!!」
あっちゃんの声が響いた。
もう、助からない。そう思って、固く目をつぶった。
そして、『ドンッッ!』という、鈍い衝撃音と一緒に私は、その場に倒れこんだ。
「っ…、あれ?痛くない。」
そう思って辺りを見回すと、私の足元に…、
血だらけのあっちゃんの姿が。
「キャーーーーーーー!」
私は、声にならない叫びを上げた。
すぐに、救急車を呼んで、あっちゃんが担架で運ばれていった。
私はそこに立っていることしか出来なかった…。