誰一人、
動かなかった。



ミニオンヌは動かない皆を見つめ、
キョトンとする。

一人
膝をついたままのリュンヌに目を止めた。

すると、
真っ直ぐに彼の元へ
歩みを進めた。




「あなたが、リュンヌ?」


「…」





リュンヌはしばらく黙った。

膝をついたまま静かに彼女の方に向き直し、
礼をとり「はい」と答えた。




ミニオンヌはぱぁと
顔を輝かせた。

嬉しくてたまらないといった
表情だ。





対して
リュンヌの顔には曇りがあった。


先程のレイの言葉。

それが残っているからだろう。






「あなたが、
あなたがリュンヌなのねっ。

会えて嬉しいわ。


ねぇ、どうか、
顔を上げてくださらないかしら?」